電気料金値上げに泣いた今年の冬、最もニーズの多かったリフォーム案件は?
2022年は電気料金の値上げが話題になり、今年の冬の電気代の高さには驚いた方も多いと思います。
そんな厳しい冬を終え、実際にどんなリフォーム案件のニーズが多かったか、リフォームアドバイザーの小林さんに話を聞きました。
チーフアドバイザー 小林保洋
信州の風土を知り尽くし、お客様のより良い生活のためのリフォームを10年以上提案し続けてきた、お客様からの信頼も厚いベテランアドバイザー。費用のこと、工事品質のこと、不安も多いリフォームを安心して任せて頂けるよう、一人ひとりのお客様に真摯に向き合う。
電気代の一番の節約は断熱工事
―今年の冬、どんなリフォーム案件が多かったですか?
小林さん やはり断熱ですね。今年のお正月明けぐらいから、「家の電気代がいきなり高くなった」「節約しているのに、昨年よりも電気代が高い」という話はちらほら聞いていますので、お客さんの断熱への意識は上がっていると思います。
暖房費の節約をするには、断熱工事をしっかりやることが一番大事です。自分の健康を犠牲にして寒いのを我慢してまで節約してほしくないです。
―断熱にもいろいろあると思いますが、どういう提案をしたのが一番多いですか?
小林さん 「寒いから何とかしたい」というのが大体のお客さんのテーマなので、「しっかり壊して、まずは窓を入れ替えましょう」と話しますね。
―リフォームでの断熱は新築に比べてすごく難しいですよね。何が難しいのか、プロの目から教えてもらえますか?
小林さん 見た目の断熱はできても、見えてないところに隙間があります。もちろん、リフォームをすることで現状よりは絶対良くはなるのですが、いくらインナーサッシをつけても、100%パーフェクトな断熱はできていません。そういう意味ではまだ電気代で損していることになりますので難しさはあります。
気密測定の様子。家全体でどれくらい隙間(面積)があるのかを専用の機械を使用して測る。
―隙間をなくして気密性を高めることによって生まれるリスクもありますよね。
小林さん 空気が出入りしないよう密閉された状態なので、換気ができないというのはありますね。昔はよく、お客さんに「断熱と共に換気がなされていないと、必ず事故が起きますよ。『断熱』と『換気』はコインの表裏です」と話をしていました。今は「断熱」「換気」「気密」の三角形のバランスがうまくとれてないといけません。
気密測定の機材。工事中に実施する中間気密測定にて、気密性を確認し、もし問題があれば完成までに修正・改善を行う。
リフォーム断熱は金額と断熱水準の折り合いが難しい
―新築だと0から建てるので、ZEH(ゼッチ)くらいは簡単に行きますよね。でも実際はZEHでも全然足りなくてG2ぐらいないと、冷暖房費を抑えながら、それでいて快適な環境に住むのは無理ではないですか?
小林さん 正直、当社で行っているリフォームでもG2まではまだ行っていないので、お客さんにどう訴求するかは難しいところです。
古い住宅をG2クラスまで上げるには、壁も30㎝ほど必要になってくるのであっという間に金額が上がってしまいます。自分の中でジレンマがありますが、どこで折り合いをつけるかが大事です。
―部分断熱には結構ニーズがあると思いますが、小林さんはどういう順番で提案していきますか?
小林さん 「寒いから何とかしたい」と相談に来たお客さんには、まずは家の中で一番長くいる場所はどこでしょうと聞いていきます。大抵、LDK、寝室という順番ですね。後は、「夜寝ているときにトイレに行きますよね」と話します。できればその寝室からトイレまでという空間で見ていくと、1階の3分の2くらいはリフォームしていかないといけないですねという話になります。そうすると2000万~2500万円ほどの金額になるお客さんが多くなります。
まず、「平成28年省エネ基準は絶対クリアしましょうよ」と話すのですが、そうすると本当はセルロースでやりたいところを、床はセルロース、天井と壁はハイグレードグラスウールという感じになり、自分としては不本意です。それでも、動線のところの断熱は最低限クリアするところまではできています。
サンプロはYKK APが運営事務局を務める「性能向上リノベの会」に登録している。これからも安全で快適な住環境の提供を通して、地域社会に貢献していく。